今回は人と人とのつながりや出会い,環境に負荷をかけない暮らしを提案するお店として活動する,東京都国分寺市にある「カフェスロー」へ行き,おいしい食事をいただきながら代表の吉岡淳さんにお話を伺ってきました.
暮らしの中で何を優先するのか
カフェスローは,“スロー=つながり”と考え「丁寧に時間をかけて関係を紡いでいく」「環境に負荷をかけない暮らしの提案をする」ことをコンセプトに,さまざまな取り組みをされています.
たとえば,フードロスを出さないこと.
カフェスローでは,100食作ったとして,廃棄する食材は100g程度.無農薬や有機栽培の野菜は高いと言われますが,それらの野菜は皮まで安心して使えるため,可食部を量で考えて計算すれば,値段はそんなに大きく変わらない.おまけに,体や心に優しいという付加価値が付いてくる….
「自分の暮らしや健康は大切.そのことはみんな知っている.でも,本当は,それと同じように,その暮らしや健康を作ってくれている人たちの暮らしや健康も大事」と吉岡さんは語ります.どれだけ安い食材があったとしても,その背景に,作り手が十分な収入を得られなかったり,健康を害する環境に身を置かざるを得ない状況があってもいい?自分たちだけがよければいいの?そんな問いかけをされた気持ちがしました.
「物語(ストーリー)」を伝える
「大切にしたいことを知ってもらう,伝えるためには「ストーリー」が大切.難しい言葉ではなく,本当に大切なことをシンプルに,その物事とともにある“物語”を丁寧に伝えることが重要」だと吉岡さん.
実際に,私たちがカフェでいただいたものには,食材やそれが作られた背景などが書かれたカードがついていて,運んでくれた店員さんが食材や料理の説明をしてくださいました.料理が美味しいということはもちろんですが,いただく前にその食事に込められた想いや願いを知ることで+αの価値が上乗せされたように感じました.(後編へ続く)