喜々・楽々の“食”のはなし

ききとららのお食事風景 ヤギの暮らし
本当は好き嫌いもあります

2頭のヤギ,喜々(きき)と楽々(らら)がさいたまにやってきて1年が経ちます.はじめは人が近づくと猛ダッシュで逃げ回っていた喜々・楽々も今では人に慣れ,「つながるくんカフェ」とともに地域のあちこちに出向いて人々に癒しのひと時を与えてくれています.いつもおいしそうに何かを食べている様子の喜々と楽々.今回は食をテーマに喜々・楽々のことをお伝えしたいと思います.

エサとウンチと微生物と

エサ台に入っているのはチモシーというイネ科植物の一種を乾燥させたものです.イネ科植物の中でも繊維質が多く,一度飲み込んでは戻して再咀嚼(反芻)することで乾草を細かくし,唾液をたくさん分泌することで胃内の微生物による発酵を促します.この発酵によって,草しか食べていなくてもヤギは必要な栄養を摂ることができています.

1日1回,濃厚飼料(穀物由来の配合飼料)を与えています.栄養価が高いうえに喜々・楽々にとってとても美味しいようで,一心不乱に食べます.ですが,食べ過ぎてしまうとおなかの調子を崩してしまい,本来コロコロのはずのウンチが軟便になってしまいます.日々のウンチの状態やヤギの様子を観察しながら,与えすぎには注意が必要です.

本能のままに

濃厚飼料やイタリアンライグラスなどの生草を与えた時には,ものすごい勢いで食べています.特に喜々は“グゥグゥ”と喉を鳴らし,楽々が食べている横から頭突きをして,「全部自分が食べてやる」と言わんばかりに奪うように食べます.楽々も負けじと食べ続けます.エサ台を挟んで正面にいる喜々に頭突きをされながら……

ヤギは草食動物です.喜々・楽々のように安全な飼育環境にあったとしても,肉食動物に襲われる危険から回避するための能力が備わっています.そのため,たとえ仲が良くても目の前にエサがあれば取り合うように食べますし,聞き馴染みのない音には敏感に反応し,いつでも逃げられるように準備をします.一見,怖がりのようにも見えますが,怖がりなのも野生動物の世界においては生き残る術なのだと思います.

ヤギは過酷な環境でも生きていくために色々なものを食べますが,実は好き嫌いがはっきりしているそうです.好きなものは最後に取っておくのではなく最初に食べます.喜々・楽々もそうです.自生している植物であれば自分たちで選んで食べますが,人に慣れてくると差し出されたものは何でも食べてしまうので,食べてはいけないものを与えないように注意が必要です.

いつも同じものばかり食べていては喜々・楽々も飽きてしまいます.ヤギも人間も同じなんだなと思います.今年度もつなぐ・つくるプロジェクトで地域をめぐりながら,喜々・楽々には各地に生えているご当地グルメも味わってもらえたら嬉しいです.(記 伊藤 侑矢)

大好物の穀物類とチモシー

大好物の穀物類とチモシー

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